レポート
2025.03.16
2025年度近畿地区のイベント第二段は、バイクのシーズンオフ中に救命救急講習を受講しましょうという企画です。
バイクツーリングを趣味とする以上、運転者である自分自身に危険が伴う事もありますし、そのようなアクシデントに遭遇する事もあります。
筆者(BCN近畿会長 トウダ)は以前より市、消防署主催の救命講習に参加しており、過去にサーキットオフィシャル勤務をしていた経験上、レスキューとしてファーストエイダーの資格も持っています。
このような体験をクラブ員の皆さんで共有したい。経験したいという思いで企画する事になりました。
また、講習を1回受講したからと言って、実際の現場に遭遇した時にちゃんと動けるのか?使えるのか??
ファーストエイダーの正式資格を持っている私でさえ、?大丈夫かな??な部分はあります。
バイクの操作と同じで反復する事により身体に覚えこませることも重要です。
この理由で定期的にこのような講習は積極的に参加していきたいと思っています。
今回受講したのは東大阪市、東消防署。
検討していた日程内で、しかも交通アクセスも良く駐車場もあるので即申込しました。
さて講習内容は次の通り。
(1) 応急手当の必要性
(2) 心肺蘇生法、AED(自動体外式除細動器)の使用方法
(3) 大けがのとき、命にかかわる大出血のときに大切な「止血法」など
さて蓋を開けてみると参加者は私と島田さんの2名だけ。皆さんのご都合が合わなくて残念です。
気を取り直して頑張って受講します。
午前9時開始でまずは1時間程度、応急手当の必要性を動画で学びます。
その後部屋を移動して心肺蘇生、AEDの使用方法講習になります。
この日は約20名ほどの方が参加されていて、ランダムに数名ずつのグループに分かれて実習に入ります。
各人交代で実際にダミー人形を使用して心肺蘇生する人、救急車を呼ぶ人、AEDを探して持ってくる人に分かれて実習がスタート。
倒れている人に駆け寄り、無呼吸と心肺停止を10秒以内に確認したらAEDが到着するまでにすぐにやる事として胸骨圧迫30回 + 人工呼吸2回の繰り返し。
まず胸骨圧迫。ダミー人形はろっ骨を押す感覚まで精巧に出来ているので、力加減がわからずちゃんと押し切れない受講者が多く、肋骨が折れようが胸部圧迫で血液を循環させるのが最重要なので拳一個分沈むまで両手でしっかりと押し込む事が重要であると学びます。
ここだけの話ですが、胸骨圧迫のリズムは水前寺清子の「三百六十五歩のマーチ」が最適であることを私は知っています(笑)
次に人工呼吸はマウスtoマウスで2回。ちゃんとしっかりと息を吹き入れると人形の胸が膨らみます。
ただし、この人工呼吸。正直言ってやりたくない状況ってありますよね。ありますよね!
そんな時は無理に実施せず胸部圧迫を続けてくださいとの事です。
AEDが到着したら電気ショックです。一番緊張の一瞬です。
さてこの心肺蘇生のAED使用ですが、近年は心肺停止状態で倒れていた女性に毛布をかけて衣服をめくり、AEDパッドを貼り付けてAEDで救命措置をとり、救急車を呼んだ男性が、数日後に女性の親から強制わいせつで被害届を出され、警察の事情聴取まで受けたといいます。
女性が親を説得して和解で決着したという話でしたが、ネット上で一気に拡散されて、男性が見ず知らずの女性にAEDを使うと「性被害などで訴えられるリスクがあるので、使わない方がよい」と呼びかける情報が、何度も各種SNSで一気に拡散され「倒れている女子を助けると訴えられる」何とも物騒で閑散とした時代になったものです。
この件についての弁護士さん側のコメントでは。
【刑法第176条の「不同意わいせつ罪」に該当するかどうか等が問題になります】
不同意わいせつ罪のわいせつな行為に当たるかどうかは、救命行為から明らかに逸脱するような性的な意味があるかどうか、処罰に値するものかどうか等を考慮して判断されます。その時代の性犯罪に対する社会の一般的な受け止め方を考慮しつつ、客観的に判断されるべきとされています。
救命目的でAEDを使用する行為は、性的な意味があり不同意わいせつ罪として処罰に値する行為とは言い難いので、不同意わいせつ罪は成立しないと考えられます。裁判では、主観ではなく証拠が大事なので、救命目的以外の別の意図でAEDを使用した証拠がない限り、裁判に負けるとは考えにくいです。
女性へのAED使用をためらうと何が起こるのか。日本AED財団によると、電気ショックが1分遅れるごとに救命率は約10%ずつ低下します。
ためらうことなく心肺蘇生を開始しましょう。
心肺蘇生以外の受講では、大けがのとき、命にかかわる大出血のときに大切な「止血法」
最後に喉に異物を詰まらせてしまった時の救助方法など。
講習自体は3時間ほどで終了しましたが、最後に「普通救命講習終了証」がもらえます。
今回は初回と言う事で参加人数は寂しいものでしたが(記念撮影は消防隊員さんと同じグループで受講した皆さんに入っていただきました)
是非次回は多数のご参加をお待ちしています。
救命救急講習は各エリア消防署で無料にて開催されています。人数がまとまって場所が確保できれば出張講習して頂けます。
(スケジュールや詳細については各地区の地元消防署へご確認下さい)
これから楽しいバイクシーズンが始まります。このような救命処置を実行する事がないように祈る一方、万一の時にこの経験が役に立つことも願っています。
次のステップで「上級救命講習」にチャレンジしてみたいと思いました。
今回は近畿恒例のドローン空撮はありません。次回ご期待!
レポート:BCN近畿地区 任田 邦嗣